易しい哲学史⑧近代哲学(3)

カントは理性によってどこまでものごとを認識可能なのか?を吟味しました。神や霊魂は認識可能なのか?因果関係は認識可能なのか?人間は何を知りうるのか?それを吟味したわけです。

その集大成が『純粋理性批判』です。

簡単に結論を言うと、「理性による認識は三次元を限界として、物自体の世界の認識は持てない」ということになります。物自体とは、カント特有の表現ですが、簡単に言えば、三次元を超えた世界、あの世の世界と言ってよいでしょう。

物自体の世界を立証しようとすると、例えば神は存在するも、存在しないも同時に証明されてしまい二律背反(アンチノミー)に陥ります。従って、物自体の世界を理性によって認識することはできない。それがカントの結論です。

因果関係については、カントによると三次元的な認識となるため、理性によって認識可能であるという結論です。

理性認識が三次元の範囲内に限られるというのは、当たり前と言えば当たり前の結論ですが、このことを厳密に吟味して哲学的に立証したところにカントの功績があるのです。このカントの結論によって、理性によって知りうることと知りえないことの明確な境界線が引かれた。それがカントの偉大な功績なのです。