ニーチェ(4)パースペクティビズム

ニーチェの哲学について概観しました。

もう一点ニーチェの認識論について話をしたいと思います。認識論の問いは、近世/近代哲学の重要な問題であって、主観と客観は一致するのか?という問いが一番重要な問いであったと言ってよいでしょう。

ニーチェもこの認識論に言及しています。ニーチェの主張はなんでしょうか?

彼によると、各人の世界に対する見方が多様に存在するだけで、そもそも主観と客観が一致することは無く、主観と客観の一致と言う問い自体が間違いであるというものです。絵画を様々な角度から見ると、違った絵に見えるように、あるのは、それぞれの人々の見方だけである。例えば正義という言葉に関しても、絶対唯一の解釈は存在せず、各人の正義に対する解釈だけが存在する。従って、絶対的な価値観や真理といったものが存在すると言うのは間違いである。つまり、主観と客観の一致によって真理を写し取ろうとする行為自体が間違いであるというものです。

各人の「力への意志」に基づいた世界解釈があるだけであり(パースペクティビズム)、近世/近代の主観と客観の一致の問い自体を否定したわけです。これがニーチェの認識論です。要は、相対主義です。