戦争やテロの原因⑤安倍元首相の銃撃事件

7月8日に安倍元首相が銃撃を受け命を失うという日本の現代史上最大といっていいくらいの事件が起こりました。

山上徹也容疑者によってこの事件が引き起こされたわけですが、この事件は当初想定されていた政治的な動機とは非常に乖離があるものでした。つまり、旧統一教会に対する怨恨であり、政治家としての安倍元首相を狙ったものではないといったことでした。関連団体に安倍元首相が祝辞を述べていたことから、安倍元首相が当教会に関連があるとのことからの銃撃でした。

当初、単に祝辞を述べていただけで安倍元首相への怨恨など的外れな銃撃事件であるとも言われたわけですが、調査が進んでいくと、確かに関連はありそうであり、それどころか政治家と当教会との関わりまで取りざたされる事態となっています。また、一方で当教会の霊感商法や献金問題が30年ぶりにクローズアップされ、今後、政治、社会、宗教といった様々な要因を巻き込んだ、大きな問題へと発展していくことも考えられます。旧統一教会に対する怨恨を晴らすためという山上容疑者の当初の目的も、献金問題などが明るみに出て問題点が浮き彫りになっていき、ある意味、達成されたと言っても良いのかもしれません。

さて、絶対に銃撃事件などあってはならないことであり、山上容疑者を擁護するつもりは毛頭ないわけでありますが、この事件で私は一つ思ったことは、事件の特殊性はありますが、報道が、被害者、および、加害者の両方の視点から述べられており、事件のより真実に近い姿を描いている点です。シャルリ―エブドのように宗教的不寛容さが原因であり、テロ攻撃が悪い、このように偏向した報道になっており、一方的に加害者を批判していない点です。

もちろん、問題の特殊性はあるでしょうが、加害者側にも視点が当たることによって、「なぜこのような事件が起こってしまったのか」という根本原因にリーチすることが可能であり、おそらく、旧統一教会側も何らかの対応を取らざるを得ず、宗教というもののあり方も、また、見直される、そのような動きが起こってくるでしょう。

一つの事件をきっかけにして、根本的な問題にリーチし、社会をより良くする方向へと模索されていくであろうと思います。

政治と宗教の問題も、過度な献金によって信者の家庭を滅茶苦茶にし、自殺にまで追い込んでいる宗教団体との癒着によって、政治が運営されていたということとなれば、これも、また日本の統治機構全体を揺るがる大問題ともなるでしょう。ここも政治的な権力/圧力によって蓋をかけるのではなく、しっかりと国会において議論してほしいものです。