哲学の難問④主観と客観の一致の問題の重要性(1)

ここで主観と客観の一致の問題とは何かを見てみましょう。

主観と客観の一致の問題とは、私たちが認識していることは、その認識対象の真の姿と一致しているかどうか、ということです。簡単に言うと、以下のような形です。

・私たちは今コップを見てコップはこのような形であると思っているが、コップの真の形は私たちが認識している通りの形か?

・私たちは今風景を見て、木があり、土があり、建物があり、また、小川が流れていると認識しているが、それは本当にそうなのか?

・私たちはカントの『純粋理性批判』を読んで、「カントの意図はこういうことだ」と認識しているが、それは本当にカントが意図していることと一致しているのか?

・私たちは、真理は存在すると認識しているが、本当に真理は存在しているのか?

・私たちは、真理は存在しないと認識しているが、本当に真理は存在しないのか?

特に哲学において、最後の2点の真理の存在、非存在が重要になるのですが、主観と客観が一致することが可能であれば、実際に真理が存在していれば、私たちは真理の真なる姿を認識することができるはずです。または、真理が存在していないのであれば、それもまた認識が可能でしょう。

しかし、主観と客観が一致することが不可能であれば、真理が存在するのかしないのかが分かりません。途端に、私たちは不安定な世界に放り込まれることとなるのです。

そして、真理とは、あらゆる物事の根本原理ということになりますから、この真理が認識可能なのか?不可能なのか?その哲学的な原理を解明することは実は非常に重要なのです。