易しい哲学史⑩近代哲学(5)

カントの『純粋理性批判』と『実践理性批判』について概説しました。

『純粋理性批判』において、理性で認識できる範囲が三次元に限られるとして線引きが為され、では、それ以降の認識は何によってなされるのか?それがカントの言う実践理性と呼ばれるものになります。信仰の領域を実践理性に明け渡したということです。

これによって明確に、人間が認識できる範囲の境界線の線引きはなされたわけですが、しかし、理性が純粋理性と実践理性という2つに分解されるのは、ちょっと納得がいきません。

そこで、ドイツ観念論は、このカントの純粋理性と実践理性の2つの理性を統合する形で、発展していくのです。フィヒテ、シェリング、と至り、最後ヘーゲルによって、ドイツ観念論は山の頂を見ることとなります。