科学は完璧か?⑥認識の上昇による主観と客観の一致

結局は、ヘーゲル哲学となるのですが、ヘーゲルは『精神現象学』において、人間の認識は上昇していき、最終的には神の認識である絶対知へと到達すると言っています。ここで主観と客観が、特に真理認識ですが、この真理認識に対する主観と客観が一致するのです。

これが主観と客観の一致です。

結局は、真理認識も我々が自身の内部に既に持っているのです。アプリオリに我々の内側に真理認識があるのです。この我々の内側にあるところの真理認識が客観であり、人生の時々において外部情報として受け取る、または、自分で認識するところの真理認識が主観ということになります。

そして、主観と客観の一致とは、自分自分の内側にある真理認識である客観と、自分自身が外部から受け取る真理認識である主観の一致を自分自身で確信することなのです。自分でわかるのです。知的に証明されることではなく、いわば宗教体験によって確信するということです。

知的には証明できません。知には限界があり、知は真理に到達できません。そうではなく、自らの認識が上がっていく過程で、ある段階に到達したときに、自らが認識している真理と、自らの内側にあるアプリオリな客観認識である客観、この両者が一致している、と分かるのです。それが主観と客観の一致です。