哲学の難問⑧ニーチェの主張
ドイツ観念論哲学はヘーゲルによって山の頂点を極めました。ヘーゲルは、人間の認識は上昇していき、最終的には真理に関する主観と客観の一致を得て、神を知るに至る(絶対知へと到達する)、と主張しました。
このヘーゲル哲学は、私は、哲学の最高峰であると思いますが、しかし、このような雲の上の哲学は、一般人にとっては理解できません。早々にヘーゲル批判が始まり、一度は山の頂を見たのに、すぐにまた下降するに至ります。
その下降の極みがニーチェでしょう。
ニーチェの認識論は、パースペクティビズム(遠近法主義)です。要は、風景を見て絵を描く際に、角度によって絵が変わってきます。人間の認識もそれと同じであり、物事の見方によって認識が変わっていくのであって、主観と客観の一致を議論すること自体がおかしい。これがニーチェの認識論です。
そして、その物事の見方を決めるのは、「力への意志」、ということになります。自分自身をどのように世界を見るかによって認識が変わっていくために、ニヒリズムに負けることなく、勇気を持って生きていかなければならない。パースペクティビズムから人生へと結びつける。これがニーチェの哲学です。哲学と言うより人生論ですね。
皆さまは、どう思うでしょうか?ヘーゲルの主張とニーチェの主張、いずれが正しいと思うでしょうか?
このニーチェの思想は本人が思ったよりも影響力を持ち、ニーチェ以降の現代哲学は全般として相対主義へと傾いていくこととなるのです。