哲学の難問⑫哲学と宗教
結局、カントの言うように、理性的認識には限界があり、理性的認識によっては神や霊魂、真理といったものは把握できません。それらに対して主観と客観の一致を形成することはできません。
これまで哲学の歴史において、真理を発見しようと言う試みがなされてきましたが、この真理は、哲学的な理性、ないし知によって把握することができません。それは、カントの言う通りです。
神や真理を把握するには、神や真理に対する主観と客観の一致を形成するには、カントの言う知の限界を超えて、信仰の領域に到達しなければなりません。そして、そのような領域に入ることによって、ヘーゲルの『精神現象学』において記載されているように、最終的には、神を知るに至る絶対知へと昇華されていきます。ここにおいて神や真理に対する主観と客観が一致するのです。
結局は、哲学の領域を超えて、宗教の領域に入る必要があります。哲学と宗教の統合が必要になるということです。