主観と客観の一致の問題はなぜ解決しないのか?④ゲーデルの不完全性定理と神の不存在証明

前回、ゲーデルの不完全性定理の話をしました。ゲーデルは数学は不完全であり、証明できるかどうか分からない問題が存在し、また、自身の無矛盾を証明できない。このことを証明しました。

さて、このゲーデルの不完全性定理を使って神の(不)存在証明を行おうと言う試みがあるようです。

それは以下の通りです。

つまり、神は全知全能であり、論理的に完璧な存在です。神の元ではあらゆる事柄は証明可能であり、矛盾が生じるはずもありません。

しかし、一方で、ゲーデルの不完全性定理によると、論理的に完璧なことは不可能、という結論が導かれます。

これは、神の完全性と矛盾します。従って、神は存在しない。

これが神の不存在証明の概要でしょう。

しかし、これは、論理的に証明できない問題を論理的に証明しようとしている部分に矛盾があります。

結局のところ、論理を超えた存在があるかどうか、それは、証明不可能であるということです。神は存在することは証明できませんが、神が存在しないことも、また、証明できません。

論理を超える必要があるのです。そのような認識方法があると言うことです。