易しい哲学史⑤近世哲学~近代哲学
前回、近世哲学について考えました。近世哲学の時代はおおよそ16世紀から17世紀にかけてであり、18世紀を近代哲学がバトンを受け取っていきます。
この近代哲学はカントから始まりますが、ここにあって、重要なのがデビットヒュームによる因果関係の否定です。デビットヒュームは近世哲学においてイギリス経験論の哲学者に分類されますが、彼は、それまで漠然と検討されることなく信じられていた原因と結果の法則性を検証していきました。そして、結論として、因果関係と言うものは、単なる人間の習慣上の思い込みであり、そのような法則性など存在しない、と断定したわけです。
因果関係が否定されたときに、どのようなインパクトがあるか分かるでしょうか?
これは、我々世界にとってとてつもないインパクトを与えることなのです。つまり、科学的な法則性が全否定されるのです。ボールを向こう側に投げたと思ったら自分に向かって飛んでくるかもしれない。電気のスイッチを押したら突然爆発するかもしれない。一日は24時間ではなく、次の瞬間一日が1分になっているかもしれない。我々は、一瞬たりともまともに生活ができなくなるのです。
これは多大なインパクトでしょう。従い、ここにおいて、「なんとか因果関係を立証できないだろうか?なんとか自然科学に信憑性を与えることができないだろうか?」と思うのは自然な考えであると思います。
その難問に立ち上がったのがカントです。そして、ここから18世紀近代哲学、ドイツ観念論哲学が始まるのです。