時間とは何か?(6)アウグスティヌスの時間論
ここでアウグスティヌスの時間論について考えてみましょう。
アウグスティヌスは、時間は現在にしか存在しないという話をしています。今この瞬間にしか時間は存在しない。そのような話をしています。
しかし、実際に過去は存在するように思えるし、未来もまだ来ていませんが、将来存在するように思えます。それに対してアウグスティヌスは何と答えているでしょうか?
通常、過去と言う空間が今現在を引き延ばした先に位置しているという認識でしょう。また、未来は今現在を引き延ばした未来という場所に位置していると思うでしょう。つまり、時間と言うものがチューブのようになっており、その一点に現在が位置しており、そのチューブの先の過去の時点に過去が、チューブの先の未来の時点に未来が位置していると思うでしょう。
そうではなく、アウグスティヌスは次のように言っています。
つまり、過去は、現在想起する過去であり、現時点に存在している。そして、未来もまた現在において想起するものであり、現時点に位置している。そのように言っています。つまり、今現在のこの一点において、過去現在未来が存在しているということです。
過去は、今現在想起する過去であり、これは、記憶が該当するでしょう。未来は今現在想起する未来であり、イマジネーションが該当するでしょう。このようにして、過去は過去の空間に存在するのでなく、未来は未来の空間に存在するのではなく、過去は現在において想起する過去(記憶)であり、未来は現在において想起する未来(イマジネーション)である、ということです。
つまり、過去現在未来は今現在という一点に存在する。これをアウグスティヌスは言っています。