戦争やテロの原因⑥ウクライナ侵攻の原因
2022年2月24日、ロシアがウクライナ侵攻を行い、世界的な非難を浴びることとなりました。
日本でも各地でデモが起こり、ロシアを非難し、ウクライナを擁護する動きが出てきたわけですが、感情的にならず冷静に分析すると、これは、単純に侵攻したロシアが悪いと言うことではなく、欧米とロシアの外交上の失敗であったと言えるのではないかと思うのです。特に欧米側の失敗です。
様々な情報を考慮すると、ロシアのウクライナ侵攻の原因は2つにあるようです。それは、ウクライナが歴史上ロシアと同じルーツを持つ国であるということ。もう一点は、NATOの東方拡大です。おそらく後者が本質的でしょう。
ロシアという国は非常に広大な国であり、様々な国家と陸続きとなっています。ノルウェー、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ベラルーシ、ウクライナ、グルジア(ジョージア)、アゼルバイジャン、カザフスタン、中国、モンゴル、北朝鮮等14か国あるようです。
他国との関係が良好であり、信頼できるのであれば、地続きとなっていても安心できるのでしょうが、しかし、ロシアはソ連時代に独ソ不可侵条約を結んでいたドイツに侵攻され、結果多大なる損害を受けています。第二次世界大戦のソ連の死者は2,000万人とも言われています。
ですから、ロシアとしては、自国と他国、特に敵と見えし国との間には緩衝地帯が欲しいわけです。
では、敵と見えし国、対象とは何かと言うと、それがNATOです。
要は、NATOがロシアに接近(東方拡大)してくることは死活問題であると、プーチン大統領は考えているのです。そこで、今まで何度も警告を発してきた。特に、1990年にアメリカのベーカー国務長官がゴルバチョフ書記長にNATOを東に拡大しないという趣旨の約束をした(文書では残っていない。口頭での約束。)ということを引き合いにし、NATOに対して約束違反である、と詰め寄るわけです。
それに対して、1999年にポーランドやチェコ、ハンガリーがNATOに正式加盟し、また、2004年にはバルト三国が正式加盟します。要は、どんどん東方拡大してきているわけです。
そして、ウクライナです。ウクライナはロシアと欧州の結節点であり、非常に広大な領域を国境として接しています。そこでウクライナのNATO加盟は認めない、と言っていたわけです。にもかかわらず、欧米はそのような発言に耳を傾けず、無視し、ロシアからすると状況は悪い方向に向かい、結果、2022年2月24日のウクライナ侵攻へと結びついている、ということです。
以上がウクライナ侵攻の大まかな経緯であろうと思います。侵攻は決して許されることではなく、多くの死者が出ている以上、プーチン大統領を擁護するつもりはありませんが、しかし、同時に、プーチン大統領が侵攻に至った理由は分かる気はします。
結局は、欧米の外交上の失敗であると位置づけられるのであろうと思います。原因は欧米の外交上の稚拙さ、そこにあると私は思います。しかし、欧米はそのことを認めることは無いでしょう。
そして、そういったことは隠して、ロシアに対する非難の部分をクローズアップする、そこで、民衆も偏った情報に踊らされ、一方的にロシアが悪いと非難するわけです。このような構造は、シャルリ―エブド事件と似ています。また、侵攻の経緯自体もシャルリ―エブド事件に似ています。全く違った事例ですが、事の本質は、全く同じです。
さて、一方で、このウクライナ侵攻と似たような事例で、外交上の成功によって、戦争を回避した事例もあります。それがキューバ危機です。それを次回考えてみましょう。