主観と客観の一致の問題がなぜ解決しないのか?③ゲーデルの不完全性定理

現代は実証主義の時代であり、科学によってあらゆる事象を解明しようと言う考えが強い時代であると思います。科学によって完全に実証されるものが信じられる、証明されたものが信じられる、そのような時代であると思います。

そして、その科学の基礎に数学があるわけで、数学は科学の土台となります。つまり、科学が信頼できるためには、数学が信頼できるものでなければなりません、数学は科学において、知において、非常に根本的なものなのです。

では、数学は信頼できるのか?

実際に数学の完璧性を示そうと、ダフィットヒルベルトがヒルベルトプログラムを考案しました。数学の完全性を示そうとしたのです。

しかし、その試みは若き数学者によって打ち砕かれることとなります。クルトゲーデルです。

ゲーデルは不完全性定理によって、以下の2つのことを証明しました。

第一定理:数学には証明可能か証明不可能か判定できない問題が存在する

第二定理:数学は自身の無矛盾を証明できない

要は、数学が完璧なのかどうかは分からない、と言う結論です。これが証明されたわけです。

知の限界が、また、論理の限界が数学的に証明された、と言えるでしょう。ゲーデルの議論は、カントの『純粋理性批判』を数学的に証明した議論であると言ってよいと思います。